ブログ|有限会社アイ・エス・オー

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年末年始休業

年末年始休業の予定連絡です。

既に昨日12月29日から休業に入っており、1月5日水曜日まで休ませていただきます。

年々忙しくなっており、お取引様に感謝しております。
しかし、諸原価が上がっている中、お取引様の予算の都合上、弊社の企業努力のみでやり繰りしている部分もあります。
また、SDGsとりわけカーボンニュートラルに向けた対応についても、資料作成等を無料サービスで行っているケースもあり、お取引様にもご協力いただかないと従来のサービスが続けられない心配も出てきております。
弊社の在り方を考えていかなければなりませんね。

2022年からは油水分離の新設備が稼働予定です。
こちらについては本ブログで紹介していく予定です。分子運動論について、われわれの細胞についてすら目を向ける機会になる設備です。というと、大袈裟ですか。。。
本当に設備の可能性については大きなものがあると思っておりますが、、、

また、少しずつ弊社の取り組みについてブログで紹介していきたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。

2021年無事に終わりそうなことに、みなさまに感謝しております。
そして、私のキャパシティーの限界を感じており、お取引様にも心配をかけることもあり、2022年は対策を取っていきたいと思っております。

(有)アイ・エス・オー 長友

プラスチックのリサイクルと弊社の特徴

僭越ながら弊社ほど色んな種類の樹脂を取り扱っているところはないのではないか? 。。。少なくとも宮崎県ではないのでは、と思っております。
特に社内でのエンプラ類の樹脂分別作業をするところはないのではないでしょうか?

プラスチック製品と一口に言っても様々な種類の樹脂で作られています。レジ袋やPETボトル蓋のPE、ペットボトルのPETはよく知られた樹脂の種類です。しかし、多くの処分方法は廃プラスチック類ゴミ、プラスチックはプラスチックとして大枠のまま扱います。資源ごみとして綺麗に洗ってゴミ出ししている家庭でもPETボトルはそれ単体で出しているでしょうが、プラスチックごみをPP,PE,PS,PET,ABS,PC,PAなどと分別している方はほとんどおられないと思います。多くの方はこのプラスチック製品は何という樹脂で作られているかを気にしません。入り混じったプラスチックごみは固形燃料(RPF)、焼却か埋立ごみのどちらかになるでしょう。

弊社はできるだけ樹脂として見ます。それだけでなく添加剤も意識します。
このプラスチック製品はPPで、着色剤が使われていなくて、ガラス強化もしていなければ、タルクも難燃剤も使われていない、と細かくチェックします。勿論、フィルム(ソフト)かハードか。一時はフィルムがOPPがCPPか(延伸性)も気にしていましたが採算性上無理でした。
回収量によっては機械的性質(材質)が均一になるように同一グレードのみで分けることもあります。要するにプラスチック部品をつくるときの原料袋表示を確認して、メーカー名と製品ブランド名、それに基づくグレード(目的に合わせた添加剤や材質調整内容)を見ます。

正直、採算性を維持するのは難しいです。リサイクル原料の市場は不安定である上、元々プラスチック原料は軽くて安いのが魅力ですので、沢山貯めたと思っても軽くて驚きます。売却先の樹脂原料買取業者様工場にひとりが多いのは納得できます。
それでも排出先から社内検品作業、出荷先まで色々協力と支えがあってやってこれています。私の心身の限界ラインもありますが、続けていきたいと思っています。

SDGsの流れが弊社に味方をするのか、もっと首を絞めるのか、、、

排出樹脂の種類、メーカー(製品ブランド)とグレード、排出時の形状(ランナーや破砕、ペレット)、求める回収頻度とその際の期待数量を教えていただけると、スムーズに取引内容の交渉に進めますので、現在廃プラゴミにお悩みの企業様はご連絡いただけると一緒に考えます。ご連絡ください。

使用済品は単一樹脂材でも難しいことがほとんどです。
今のところ、複合材や接着剤等の付着物も難しいです。
梱包資材も発泡系の軽量物やかさばるものは難しいです。

本当に難しいことばかりで、力になれないことばかりで心苦しい日々を送っています。

 

参考までに、弊社が過去に取り扱った樹脂の一部、実績のリンクです。

=樹脂取扱い実績=

 

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

秋をつかみ損ねて

お昼には汗をかくことはあるものの、朝夕はすっかり冷えてきました。
昨日のように雨が降ると単に長袖では鳥肌が立ちます。

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、狂い咲きが桜やサツキに見られ、栄養が失われて旬の時期に元気がない状態にならないか心配になります。

秋ですが蚊も未だ多く、現在では蚊も秋の方が過ごしやすいのでは? と思います。太宰の哀蚊ももう少し先ですかね。

とりわけあの晩の哀蚊の御寝物語は、不思議と私には忘れることができないのでございます。そう言えばあれは確かに秋でございました。
「秋まで生き残されている蚊を哀蚊と言うのじゃ。蚊燻かいぶしは焚たかぬもの。不憫ふびんの故にな」
ああ、一言一句そのまんま私は記憶して居ります。

太宰治「葉」

狂い咲きよりも哀花の方が私にはしっくり来ます。
哀蚊の時は、通常は蚊取り線香を焚くのに、秋は我慢せよとなるのに対して、哀花の時は、通常は枯れるまで愛でるのに、秋は摘み取ることになるので、表面的な行動としては真逆な対応になりますが。

狂い咲きは葉の中で作られるはずのアブシジン酸がきちんとできていないことが原因のひとつでもあるので、剪定のタイミングや害虫防除等を考えることも必要かもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

九月はあおい空

あっという間に9月が終わりそうです。
それ以上に今年が終わりそうで、終わらせたい作業が間に合うか、、、
常に前に進みたいと思っていますが、荷物も多くなっているように思います。

 

マリー・Aの思い出 (ベルトルト・ブレヒト、野村修訳)      

九月はあおい空、その月のあの日に
ひっそりと、若いスモモの木の根もとに
あの子を、蒼いひっそりとしたこいびとを
ぼくは抱いた、優しいゆめを抱くように。
ぼくらの上にはすみきった夏空に
ひとひらの雲、じいっとぼくは見つめた
白くて、気のとおくなるほど高い雲、
また眼をあげると、もう消えてしまってた。

東京は渋谷、シネマライズで鑑賞した「善き人のためのソナタ」にも登場した詩。
盗聴していた秘密警察が、盗聴先の作家から盗んだブレヒトの詩集を朗読することで物語も心も動く。主人公の心も見ていた私たちの心も、、、たぶん。
あの日は何か徹夜で仕事をやり遂げて、ご褒美に大好きなシネマライズに行って、ポスターを眺めて「善き人のためのソナタ」に惹かれて。。。
ものすごく眠かったけど、その分、向こうの世界に行けたような気がした。

 

シネマライズはもうなくなりました。
1階が大好きでしたが、2階のみになって少し足が遠のき、、、宮崎に帰り、、、
最後に見た映画は何だったでしょうか。。。
直感で選んだ舞台挨拶付の映画で自分の席以外は関係者ばかりじゃないかと驚いたときもありました。

ランドマークだったHMVがなくなった衝撃は宮崎から山形屋がなくなるのと同じじゃないかと思いましたが、シネセゾン、今年にはアップリンク渋谷がなくなりました。
恵比寿ガーデンシネマも休館中です。友人たちと外で見た映画は良き思い出です。
ニューシネマパラダイスを見ると思い出します。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

アインシュタインの関係式(原子の実在性)

前回の話題に挙げた、アインシュタインの関係式を説明します。

例えば、水質汚染で汚染物質が液体で水中に拡散していく場合、拡散していくのが汚染物質の粒子(分子)であると設定し、当該現象の分析モデルを構築していく、、、と思います。
廃水処理をするのであれば、ブラックボックス化して数値から単に処理できると結論づけるよりも、理論的に組み立てて処理工程で起こっている現象を数式で記述できると安心できるのが、私の性格ですが、一般にみなさんはどうでしょうか。

今では当たり前のように物質を構成するのは分子ないし原子と義務教育でも習いますが、分子は目に見えないような小さなサイズです。従って、直接的に存在証明できません。しかし、分子を前提としてモデリングし算出された値が、実際に起こった現象の測定値と一致すれば、前提条件に間違いがない、分子は存在すると言えるでしょう。

アインシュタインの関係式がこの存在証明方法になります。水中拡散現象を分子の拡散運動としてモデリングし、それが正しいか測定できるようにしました。これによって、原子・分子が存在すると科学的に言えるようになったので、非常に大きな功績になりました。

金澤輝代士先生の「速習・確率過程入門~拡散現象のモデリング~」という講義ノートがウェブ上にありまして、こちらを参考にアインシュタインの関係式を説明していきます。

こちらを利用する理由はモデルでホワイトノイズ項を入れているからです。これは完全に私の好みの問題です(ここではノイズについて説明しません。きれいなバラツキ状態とでも思ってください)。

本稿ではノーテーション説明も省略します。乱暴に感じる記述も、ウェブ上のどこかにちゃんとした説明があるでしょうから、そこで補完してもらえれば。。。
それぞれの式は図示等の視覚化がしやすいので、イメージしながら数式の動きを楽しめると思います。

 

それでは、原子の実在を確認しましょう!

 

ブラウン運動する任意の粒子が時間tで位置xにいる確率をP(x,t)としたとき、(連続)確率密度関数で表す。

粒子数の質量保存則より、

レイノルズの輸送定理より空間積分と時間微分を交換

これが連続の式。1次元で考えているので

フィックの法則(流出量は濃度勾配に比例)が成り立つので

連続の式とフィックの法則の式より

ブラウン粒子の拡散現象の確率密度関数は正規分布に従う。
x(t)の初期条件をx(0)=0としたとき

これがデルタ関数の性質を満たすのであったり、フーリエ変換を使っていたりすることは金澤先生の資料の方で。

ランジュバン方程式(ブラウン粒子の運動方程式が水の粘性摩擦と水分子の衝突によるノイズで表せる)より

(ボルツマン定数はKB=R/NA、ホワイトノイズξG
表現を変えて

平均をとるとさらに両辺にxをかけると

であり、
1次元であるからエネルギー等分配則より

が成り立つので

この微分方程式を解く
と置く。

t=0でf=0より

fを積分してt=0で<x>2=0より

時定数は十分時間が経った(tが大きくなった)とき、ほとんど無視できるので

平均2乗変位より分散であるから

粒子が半径aの球とすれば

以上より、アボガドロ定数を以下のように表せる

右辺の全ての大きさは分かる、もしくは測定できるので、アボガドロ定数が分かります。これが成り立っていれば、原子・分子の存在を仮定することは間違っていないことが分かります(逆にアボガドロ定数が6.02×1023/molとして原子の半径を推定することができる)。

原子・分子を想定することで初めて質量保存則や運動方程式が描けるので、それらの式から導かれた値が現実の数値と一致することは、原子・分子の存在証明になるわけです。

ちなみに、アインシュタインの論文では浸透圧と摩擦力のつり合いから説明しています。
アインシュタインは「私の主目的は,一定の有限な大きさの原子の存在を確証する事実を発見することであった」と説明しています。

ブログに数式を載せるのは難しいですね。どう載せるのか。。。注釈で後述して流れを切らないのは見やすくはありますが、何となく今回はそれより前半は不必要に途中式を載せました。

原子の世界の続編があるかもしれません。

また修正加筆するか、何かリアクションを受けたらPDFファイルを入れます。
※1 微分方程式を解いて拡散係数を求める流れも大雑把ですが、加筆しました。
色々と参考にしたんですが、けっこう誤植やモデルに違和感があるものが散見されましたし、ランジュバン方程式が違うことで拡散係数に質量が入ったものもありましたね(そう言う私もミスがあるかもしれません)。微分方程式を教えるのが目的であれば、モデルの正確性は重要ではないでしょうし。解析学自体はそこそこやったものの、流体力学や統計力学を基礎から勉強したことはないし、アインシュタインの関係式を知ったのも最近なので、モデルの厳密性の議論や発展のさせ方についてはいつの日にか。。。粒子のサイズについては分析したいかもしれません。
それより、拡散モデルを発展させて分析したいですね。
取りあえず、雨の多かった盆休みに1歳児と戯れながら、自分なりに一生懸命頭の中でモデルの世界に潜り込んでインプットしていたので、8月中にアウトプットできてよかったです。

余談ですが、

とFokker-Plank方程式の形をしていれば、


になります。c=0にすれば本稿です。こっちの方が伊藤積分に慣れしたんだ方は安らぎを得ますかね?

それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

夏季休業のお知らせ

夏季休業のお知らせです。

8/8(日)~8/15(日)までは基本的にお休みさせていただきます。

多くの工場が休みであること、稼働されても集荷に伺うほどは排出物がないこと、弊社の従業員の有給休暇取得推奨日を含めたいことが理由に挙げられます。

弊社への電話は私の方に転送されますが、ウェブ広告や電力、トラック関連の営業はご遠慮ください。
ほぼ毎日私は出勤しますし。。。勿論、台風被害等のご相談や緊急の御用は対応いたします。

アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞して100年ですね。そして、今日は8月6日です。マンハッタン計画の引き金でもある原子爆弾開発を求める書簡を書いた事を後悔していたわけですが、彼は最悪のケースを止めるために行ったのであり、善意からの行動でもあります。情報の非対称性があったとはいえ、これがMax-Min戦略(choquet積分の最大化)だったかは分かりませんが、物事の最適な指針を出すことの難しさを感じます。正しさとは何なのか、本当に毎日のように悩みます。

アインシュタインと言えば、26歳に発表した論文群で、我々廃棄物業者必読の『熱の分子論から要求される静止液体中の懸濁粒子の運動について』があります。水質汚染を考える上で、ブラウン運動するサイズの微粒子を対象に考える上で非常に興味深いものがあります。英語の翻訳としてはオンライン上では On the movement of small particles suspended in a stationary liquid demanded by the molecular-kinetic theory of heatで検索すれば読むことができますが、アインシュタインの関係式やアインシュタイン・ストークスの関係式で検索した方が分かりやすいかもしれません。

そこで、ブラウン運動にご興味をお持ちでしたら、是非ともルベーグ積分から伊藤清先生の功績まで辿り着いて欲しいものです。更に非加法下での確率微分方程式にまで食指が動いたら、choque(ショケ)積分に出会うと思います。測度論を丁寧に理解することが重要です。
前者までなら証券アナリストに求められる数理分析より基礎(根本)の領域に踏み込めますし、後者であればジニ係数といった指標の格差社会からナイト流不確実性下の意思決定論について考えることができます。
ショケ積分で関数の連続性に疑問を抱くようであれば離散凸解析に行きましょう。その前に数値解析で有限要素法に触れて近似を学ぶのも決して遠回りにならないと思います。というか、近似、、、ベルマン方程式のguess and verifyも触れますか。。。?

こうした揺らぎに心揺さぶられる方で、スポーツにも興味がある方は、柳田敏雄先生の筋収縮を説明する分子モーターミオシンのブラウン運動の研究を調べると良いと思います。たぶん高校生物で習うようなアクチンとミオシンの滑走説がイメージもしやすいし自然にすら感じるかと思いますが、ブラウン運動が潜んでいることを考察するのはスリリングです。柳田先生はその研究をする前提となる分子モーターの計測技術の開発をされており、というよりその開発が非常に大きな研究です(誤解があったらすみません)。
実は、私の人生にも影響を与えてしまったミオシンのブラウン運動、10代の私の進路を大変更させ、20台後半の私の研究にも気づいたら重なる部分がありつらい時の心の支えになり、そして現在の私にも自分の仕事を色づいた景色にさせてくれています。

以上、夏季休業のご報告でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

真ん中に

さて、そろそろこの流れ出る生を自ら満喫している風景を額縁にはめ込むことになった。
(中略)
そう、これが思い出となる、というのはあらかじめわかるものだ。
たった今しがた、強い夏の日射しの下で一面まぶしい光におおわれたボクらの世界も、もう、半分追憶の夏雲におおわれて、輝きを失った半透明の色彩の中でひっそりと静まり返っていた。
それはもうすっかり思い出の世界に入っていたのかもしれない。
誰だって、描こうとしない、描かれることのない、スケッチブックの一頁があるはずだ。
ボクはいつのまに描くのを止めていた。
でも気を取り直したシメ君は、夢中になって頭上の沸き立つ夏雲を描いていた。

(町田純『ヤンとシメの物語』)

いくら着替えてもすぐに汗びっしょりになる夏がやってきています。
真夏の草刈作業は靴下まで汗でびちょびちょです。
昨年は朝5時から朝9時までの早朝草刈もやりました。熱中症は避けたいものです。

わたしたちだって、今、この話をしている最中でさえ、もうすでに過去の幻影みたいなものなのよ
(中略)
あなたは未来の思い出の中に生きているわ。これから先も、きっと

(町田純『草原の祝祭-ヤンのヨールカ―』)

いくら時間があっても足らない毎日です。
でも、誰にも訪れる死への準備もしていきたいと思います。その一つは私にとって読書であり、お金(生活)を生み出さないものです。
研究していた時は朝から晩まで一つの事に専念していて時間の足らなさ、自身の能力や努力の限界を感じていましたが、現在は一つの事に専念できる連続した時間を得られる難しさを感じています。
水への汚染について、この1年ちょこちょこ論文を読んでいます。
拡散系だから昔とった杵柄でアインシュタイン方程式をさらさらやりたかったんですが、ごまかしながら勉強した気になっています。

未来では足りない
古いもの 新しいものでは足りない
永遠が 部屋の真ん中で
聖なる樅の木にならなくてはならない……        

(町田純『草原の祝祭-ヤンのヨールカ―』)

 

今日一日は、こんな気持ちの良い日は、せめて目を開けて見渡してくれないか。そして、じっと見つめてくれないか。この草原を、この森を。

(町田純『ヤンとシメの物語』)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

プラスチックの油化

ご無沙汰しております。
気が付けば、刻々と時は流れ、ブログ更新が途絶えておりました。

時間のマネジメントの難しさを感じる毎日で、ブログ更新の優先順位度は低いので、後回しになっておりました。
そうは言っても、触れておきたいプラスチックの油化の話です。
昨年2020年12月15日「低温でのポリオレフィン系プラスチックからの有用化学品合成に有効な固体触媒系の開発に成功 ~プラスチックの新たな変換法を確立!~」と大阪市立大学と東北大学の共同研究(大阪市立大学 人工光合成研究センターの田村正純准教授と東北大学大学院工学研究科応用化学専攻の冨重圭一教授ら)として発表がありました。2020 年 12 月 10 日(木)に『Applied Catalysis B: Environmental (IF=16.68)』にオンライン掲載されたことによります。
こうしたニュースは鮮度も大事なので、昨年中に触れておきたかったのですが、半年経ってしまいました。

小泉環境相も言われた通りプラスチックは原油から作られているので、プラスチックは高カロリーで廃材を固形燃料(RPF)の原料として利用できます。
更には元の油に戻すことも可能です。

ちょっと調べれば、プラスチックを油化する実験が出てきます。弊社もストーブの上で実験したことがあります。
単純な仕組みで考えると、油化するための必要エネルギーから得られる油は少ないです。
とは言え、理論から実務ベースに持っていくエンジニアリング技術は素晴らしく、油化装置は実用化されています。
(この技術の詳細は不勉強ですので、採算性は明示できません)

弊社も一度机の上で検討したことはあり、それが実験した理由にもなりますが、お声掛けしようと思っていた企業様が倒産してしまって上手くいくのだろうか、、、と恐怖心が植えつけられました。

話は戻して、今回の研究発表のポイントは触媒を使うことで200℃で油化できること、ポリオレフィン系プラスチックであることではないでしょうか。

200℃であれば油化するための必要エネルギーは少なくてすみます。
また、ポリオレフィン系というのはプラスチックの中でも炭素と水素からなる分子でシンプルな構造をしたものです。ペットボトルの素材のPETはそこにテレフタル酸と重縮合したものですから違います。つまり、プラスチックなら何でもいいわけではありません。

そうは言っても低エネルギーで油化できることは大きな一歩だと思います。
ポリオレフィン系といえど、添加剤の多いもの、ガラス強化品(ガラス繊維を混ぜたもの)などがありますので、その辺りは特に工業系の部品を扱う場合はテストが必要だと思いますが。
ただプレコンシュマー材は素直にプラスチック原料にするのが良いと今のところは思っています。
そうなると、もうプラスチック原料にするには劣化しすぎている(既に何度かリサイクル原料化されている)場合のポリオレフィン系と限定され、導入は難しいなと思ってしまいます。

私は臆病です。色んな要素を気にしていては前に進めないから、取りあえずやってみることの重要性は経験上もわかります。ただ従業員がいて、、、家族がいて、、、取り返しのつかない自然環境破壊がないように考えて考えてやっていきたいです。
小さな会社といえど、、、です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

 

プラスチックのリサイクルのあれこれ

本当にあれこれです。
元の製品原料と同じ品質水準でリサイクルすること(再生原料品をつくること)は難易度が高すぎる諸問題をとりあげます。

まず、本稿における用語説明です。正確な定義ではありませんが、本稿を読むのには充分だと思います。
プレコンシュマー材:市場に未出荷の工場端材
ポストコンシュマー材:市場に出荷された使用済み品
マテリアルリサイクル:本稿では再生原料化
水平リサイクル:元の製品にリサイクル Ex.)ペットボトルtoペットボトル
カスケードリサイクル:元の製品より低品質品にリサイクル Ex.)ペットボトルtoポリエステル繊維

 

弊社は、プラスチックのプレコンシュマー材をリサイクル価値のある有価物として、集積出荷しております。
有価物として扱えるためには、コストを考えると、異物混入がなくマテリアルリサイクルできる状態でなければなりませんし、数量が必要になります。

最近、使用済みペットボトル水平リサイクルがアピールされていますが、それが凄いことだと感じる方は多くはないと思います。
リサイクルするなら綺麗にして元々の製品素材(原料)になるのが余計な負担はかからないというのが自然に感じるからです。

しかし実際は、溶かして固めれば再原料になるのではないんです。
プレコンシュマー材ですら成形時に熱処理はするし、紫外線にさらされるので、元々の原料状態からは品質が劣化することは避けられません。
それがポストコンシュマー材であればいくら洗ったとはいえ、品質は元より劣化しています。水平リサイクルはできないので、カスケードリサイクルされます。
また、プレコンシュマー材も、僅かとはいえ品質が落ちている上、水平リサイクル先が見つかったとしても、安定的に必要な数量を同じ品質で提供することが可能である必要性が出てきます。
そこで問題になるのが、プレコンシュマー材は工場側からしたら生み出したくないものであることです。ポストコンシュマー材にならないと計画的売上につながりません。
さらに同じ種類のプラスチックだとしても、実際は細かい用途やメーカーの要望に合わせてカスタマイズされており、同じ品質ではありません。極端に言えば、水平リサイクルには全くの同一製品毎に再原料化して同じ品質製品での買い手をみつけることが求められます。カスケードリサイクルであれば、求められている品質以上になればいいので、同程度のカスタマイズ品を混ぜ合わせることができます。

カスタマイズとは。。。
同じプラスチックの種類PETとはいえ、用途に合わせて細かくカスタマイズされております。カスタマイズのひとつが添加剤です。
この添加剤がマイクロプラスチックとなったときに生物の体内に入り、悪影響を及ぼすことも危惧されております。
但し、品質の劣化を埋める役割を担うのも添加剤です。

例えば、プラスチックは黄変を起こしますが、これは光(紫外線)が原因のこともあるし、暗所でも加工時の熱酸化が原因で起こることもあり得るし、顔料中の金属イオンがキレートを形成することでも起こりえます。
こうした原因をブロックするために添加剤を使うこともあります。

今回はここまでで止めておきます。
次回は昨年末に発表のあった国内研究を含めて、油化技術にも触れてみたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(有)アイ・エス・オー 長友

GW休暇

GW休暇のお知らせです。

基本的には5/01(土)~5/09(日)までお休みを取らせていただきます。

場内整理や環境保全のため一部稼働することはありますし、私は研究(?)を行うため出勤しているかと思います。
プラスチックに関する豆知識も広報活動の一部として行っていきたいと思っています。

私に直接お電話いただくお客様にはなかなか平日も電話に出れず申し訳なく思っています。
現場作業中は両手足塞がっていることや息が上がって(アドレナリンが出て)思考力が落ちているので、返事が難しいことがあります。
現場作業を減らさねばとは思ってはいます。

以上、宜しくお願い致します。

(有)アイ・エス・オー 長友