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ダイオキシン類

新型コロナウイルスの感染は終わりが見えないですね。目に見えるわけでもなければ、臭いも音もしないので、怖いです。空気感染のリスクはないようですが、飛沫感染や接触感染というのは人間不信を生みかねないので、何かがあったときこそ、ちゃんと地に足をつけて対応したいと思っています。不安を煽るチェーンメールも流行っていますし、有識者が厚生労働省を激しく批判する姿もみますが、専門的知識のない私たちが正しい物差しで判断するのは難しいでしょう。基本は厚生労働省の公開している情報だと思います。

 

今日はダイオキシン類について触れたいと思います。

観測地点や方法(試算方法含めて)によって変わると思いますが、例えば環境省に「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査」があります。血液中ダイオキシン類濃度は15年前と比べると大きく減少しています。これは焼却施設や塩素系農薬、ポリ塩化ビフェニル(PCB、人工的に作られた油状の化学物質)に対策がとられたからでしょう。現在閲覧できる最新の報告書は2017年のものです。ダイオキシン類対策特別措置法により設定された耐容一日摂取量を超過した対象者はおらず、平均値および中央値も基準値の10分の1レベルです。

 

ダイオキシン類の化学構造式をご存知でしょうか?

ベンゼン環2つを酸素1つないし2つでつないで、ベンゼン環の水素を塩素に何個か置換した構造式をイメージすればいいと思います。塩素がどこに何個つくかで毒性が変わります。

塩素は人体に何かと強い作用をもたらすイメージがあると思います。それに合わせて、プラスチックの塩化ビニル樹脂(塩ビ)を燃やすことがやり玉に挙げられたわけです。プラスチックで塩素を化学構造式内に持つ一番有名なのが塩ビです。
これがいつの間にか、プラスチック全体が悪者扱いされ、更には燃やしていないのに危険と思われる方も未だにいらっしゃるわけです。
実際は、焼却条件によるものが大きく、空気中の微量な塩分でもダイオキシンは生成されます。火山の噴火や山火事でもダイオキシンは発生するので、完全に消し去ることはできないでしょう。

 

つまり、何が言いたいのかというと、プラスチックは存在自体が汚染を生むわけではなく、使う人間側による問題の方が大きいということです。

 

 

余談です。
人間は何種類のものを識別できるか? 色は750万種類、音は35万種類、臭いは1兆種類以上と言われています。正確な数字は文献によってズレがありますが、聴覚<視覚≪嗅覚なんでしょう。記憶に刻みやすいのは視覚情報ですが、何かを察するには嗅覚を普段から意識しておくといいんでしょうか。吉本隆明『匂いを讀む』は日本文学の匂いを読むことができて面白いです。養老孟司「目の作家・耳の作家―三島由紀夫と宮沢賢治」『カミとヒトの解剖学』も良いですね。ヴァレール・ノヴァリナ『耳のための演劇』となると言語理解を超えた音そのものの身体性にあてているんですが、原文はフランス語で日本語訳がない上、多言語だけでなく意味をなしていない音のための単語が出てくるので、読むための敷居も高いです。認識についてはヘーゲルは勿論、宇宙論における人間原理を考えることは面白いです。
本当は余談の方が話したいんですよね。

ダイオキシン類については環境省と塩ビ工業・環境協会を参考にしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

有限会社アイ・エス・オー 長友